フォーク・ソング2 ~歌姫哀翔歌

中森明菜 フォーク・ソング2 ~歌姫哀翔歌歌詞
1.旅の宿

作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎

浴衣のきみは尾花の簪
熱燗徳利の首 つまんで
もういっぱい いかがなんて
みょうに 色っぽいね

ぼくは ぼくで 胡坐をかいて
きみの頬と耳は まっかっか
あゝ風流だなんて
ひとつ俳句でも ひねって

部屋の灯を すっかり消して
風呂あがりの髪 いい香り
上弦の月だったっけ
ひさしぶりだねェ
月見るなんて

ぼくはすっかり酔っちまって
きみの膝枕に うっとり
もう飲みすぎちまって
きみを抱く気にもなれないみたい


2.なごり雪

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

汽車を待つ君の横で僕は
時計を気にしてる
季節はずれの雪が降ってる
東京で見る雪はこれが最後ねと
さみしそうに君がつぶやく
なごり雪も降る時を知り
ふざけすぎた季節のあとで
今春が来て君はきれいになった
去年よりずっときれいになった

動き始めた汽車の窓に顔をつけて
君は何か言おうとしている
君の口びるがさようならと動くことが
こわくて下をむいてた
時がゆけば幼ない君も
大人になると気づかないまま
今春が来て君はきれいになった
去年よりずっときれいになった

君が去ったホームにのこり
落ちてはとける雪を見ていた
今春が来て君はきれいになった
去年よりずっときれいになった


3.心もよう

作詞:井上陽水
作曲:井上陽水

さみしさのつれづれに
手紙をしたためています あなたに
黒いインクがきれいでしょう?!
青いびんせんが悲しいでしょう?!

あなたの笑い顔を不思議なことに
今日は覚えていました
19才になったお祝いに
作った唄も忘れたのに

さみしさだけを手紙につめて
ふるさとに住むあなたに送る
あなたにとって見飽きた文字が
季節の中で埋もれてしまう

遠くで暮らす事が
二人に良くないのはわかっていました
くもりガラスの外は雨
私の気持は書けません

さみしさだけを手紙につめて
ふるさとに住むあなたに送る
あなたにとって見飽きた文字が
季節の中で埋もれてしまう

あざやか色の春はかげろう
まぶしい夏の光は強く
秋風の後 雪が追いかけ
季節はめぐりあなたを変える


4.ベルベット・イースター

作詞:荒井由実
作曲:荒井由実

ベルベット・イースター
小雨の朝
光るしずく窓にいっぱい
ベルベット・イースター
むかえに来て
まだ眠いけどドアをたたいて
空がとってもひくい
天使が降りて来そうなほど
いちばん好きな季節
いつもとちがう日曜日なの

ベルベット・イースター
きのう買った
白い帽子花でかざり
ベルベット・イースター
昔ママが好きだった
ブーツはいていこう
空がとってもひくい
天使が降りて来そうなほど
いちばん好きな季節
いつもとちがう日曜日なの
ラー、ララララ…………


5.精霊流し

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

去年のあなたの想い出が
テープレコーダーから こぼれています
あなたのために お友達も
集まってくれました
二人でこさえた おそろいの
浴衣も今夜は一人で着ます
せんこう花火が見えますか 空の上から
約束通りに あなたの愛した
レコードも一緒に 流しましょう
そしてあなたの舟のあとを ついてゆきましょう
私の小さな弟が 何も知らずに
はしゃぎ廻って
精霊流しが華やかに始まるのです

あの頃あなたがつま弾いた
ギターを私が奏いてみました
いつの間にかさびついた糸で
くすり指を切りました
あなたの愛した母さんの
今夜の着物は浅黄色
わずかの間に年老いて 寂しそうです
約束通りに あなたの嫌いな
涙は見せずに 過ごしましょう
そして黙って 舟のあとを ついてゆきましょう
人ごみの中を縫う様に
静かに時間が通り過ぎます
あなたと私の人生を かばうみたいに


6.悪女

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

マリコの部屋へ 電話をかけて
男と遊んでる芝居 続けてきたけれど
あのこもわりと 忙しいようで
そうそうつきあわせても いられない

土曜でなけりゃ 映画も早い
ホテルのロビーも いつまで居られるわけもない
帰れるあての あなたの部屋も
受話器をはずしたままね 話し中

悪女になるなら 月夜はおよしよ
素直になりすぎる
隠しておいた言葉が ほろり
こぼれてしまう 「行かないで」
悪女になるなら
裸足で 夜明けの電車で泣いてから
涙ぽろぽろ ぽろぽろ
流れて 涸れてから

女のつけぬ コロンを買って
深夜のサ店の鏡で うなじにつけたなら
夜明けを待って 一番電車
凍えて帰れば わざと捨てゼリフ

涙も捨てて 情も捨てて
あなたが早く私に 愛想を尽かすまで
あなたの隠す あの娘のもとへ
あなたを早く 渡してしまうまで

悪女になるなら 月夜はおよしよ
素直になりすぎる
隠しておいた言葉が ほろり
こぼれてしまう 「行かないで」
悪女になるなら
裸足で 夜明けの電車で泣いてから
涙ぽろぽろ ぽろぽろ
流れて 涸れてから


7.シクラメンのかほり

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

真綿色したシクラメンほど清しいものはない
出逢いの時の君のようです
ためらいがちにかけた言葉に
驚いたようにふりむく君に
季節が頬をそめて過ぎてゆきました

うす紅色のシクラメンほどまぶしいものはない
恋する時の君のようです
木もれ陽あびた君を抱けば
淋しささえもおきざりにして
愛がいつのまにか歩き始めました

疲れを知らない子供のように
時が二人を追い越してゆく
呼び戻すことができるなら
僕は何を惜しむだろう

うす紫のシクラメンほど淋しいものはない
後ろ姿の君のようです
暮れ惑う街の別れ道には
シクラメンのかほりむなしくゆれて
季節が知らん顔して過ぎてゆきました

疲れを知らない子供のように
時が二人を追い越してゆく
呼び戻すことができるなら
僕は何を惜しむだろう


8.神田川

作詞:喜多条忠
作曲:南こうせつ

貴方は もう忘れたかしら
赤い手拭 マフラーにして
二人で行った 横丁の風呂屋
一緒に出ようねって 言ったのに
いつも私が 待たされた
洗い髪が芯まで 冷えて
小さな石鹸 カタカタ鳴った
貴方は私の 身体を抱いて
冷たいねって 言ったのよ
若かったあの頃 何も怖くなかった
ただ貴方のやさしさが 恐かった

貴方は もう捨てたのかしら
二十四色の クレパス買って
貴方が描いた 私の似顔絵
巧く描いてねって 言ったのに
いつもちっとも 似てないの
窓の下には 神田川
三畳一間の 小さな下宿
貴方は私の 指先見つめ
悲しいかいって きいたのよ
若かったあの頃 何も恐くなかった
ただ貴方のやさしさが 恐かった


9.学生街の喫茶店

作詞:山上路夫
作曲:すぎやまこういち

君とよくこの店に 来たものさ
訳もなくお茶を飲み 話したよ
学生でにぎやかな この店の
片隅で聴いていた ボブ・ディラン
あの時の歌は聴こえない
人の姿も変ったよ
時は流れた
あの頃は愛だとは 知らないで
サヨナラも言わないで 別れたよ
君と

君とよくこの店に 来たものさ
訳もなくお茶を飲み 話したよ
窓の外 街路樹が美しい
ドアを開け 君が来る気がするよ
あの時は道に枯葉が
音もたてずに舞っていた
時は流れた
あの頃は愛だとは 知らないで
サヨナラも言わないで 別れたよ
君と 君と……


10.I LOVE YOU

作詞:尾崎豊
作曲:尾崎豊

I love you 今だけは悲しい歌聞きたくないよ
I love you 逃れ逃れ 辿り着いたこの部屋
何もかも許された恋じゃないから
二人はまるで 捨て猫みたい
この部屋は落葉に埋もれた空き箱みたい
だからおまえは小猫の様な泣き声で

きしむベッドの上で 優しさを持ちより
きつく躰 抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に

I love you 若すぎる二人の愛には触れられぬ秘密がある
I love you 今の暮しの中では 辿り着けない
ひとつに重なり生きてゆく恋を
夢みて傷つくだけの二人だよ
何度も愛してるって聞くおまえは
この愛なしでは生きてさえゆけないと

きしむベッドの上で 優しさを持ちより
きつく躰 抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に


11.レコーディング映像